お亡くなりになられた故人様はご葬儀担当の私がまだまだ新人の時に喪主をされた方でした。その時には緊張のあまりに失敗してしまうこともありましたが、それも優しく温かく見守ってくれるようなお人柄にであったことが思い出されます。
ご葬儀とは故人様の人生に関わった皆様が思う時間なのだと考えております。
担当として何ができるのかを考えるとその方の人生における想い出を形にし、ご家族にとっての忘れられない新たな想い出を残すこと、そのための聞取りを行う際に様々な想い出が頭の中に甦る…
この御当家は故人様の温かさそのままで、たくさんの事を教えてくれました。想い出を嬉しそうに話すときの奥様や息子様の表情は忘れられません。
それからご葬儀までに沢山のお話をし、想い出コーナーを飾ったり、過去の写真でスライドショーを作成し、想い出コナーで放映し、それをご親族が見られてお話に花が咲く・・・そのたびに奥様は御棺の故人様の元へ安らかなお顔を見て声をかけておられました。
最も側で一緒の時間を過ごす担当として、お話の中で1番嬉しそうにお話されていた心に残るエピソードがありました。
「ここ数年の事でしたが、お父さんが高松のお店のオムライスが好きで、それを食べた帰りに必ず新しくできたパン屋の食パンを一緒に行列に並んで買ってました。」と
ご葬儀の読経が終わりお別れの時、皆が棺の周りに集まる後ろから大きな一斤の食パンが入ったその店の紙袋を持った担当が「お二人の想い出の食パンです。これから旅をするのにお腹が空いてはいけません。お荷物になるかもしれませんが、大好きだった奥様から故人様の大好きだったパンをもたせてあげてもらえますか?」と、ひとことを添えて…
そのパンは担当者自身は御当家の対応のため離れられないので、自分の家族に頼んで並んでもらい準備したものだったのです。
突然現れたパンと袋のロゴを見て奥様は号泣しより沢山のお言葉を故人様にかけておられました。
これまでのご葬儀は沢山の人達に参列してもらいその方の人生を知る機会となっていました。
ご葬儀もコロナウィルスの影響も受けたこともあり時代と一緒に様変わりし、会葬に来られる方に向けられていた時間が無くなり、ゆっくり過ごせる時間を故人様を想う時間として昔のしきたりに固執するのではなく、その方らしいご葬儀を行うようになっているのが今の形です。
その一件、一件の故人様とご家族のストーリーを大切にし、形にするのがSAKASOUのご葬儀です。
SAKASOU 宮本良平