ご主人が亡くなられました。
夫婦仲はとても良く、周囲の人々にもその深い愛情が伝わっていました。
それを感じたのは、ご主人様はご飯をよく召し上がる方で、お仕事の際には奥様の手作りのお弁当をいつも2つ持って行っていました。しかし病が進むにつれて思うように食べられなくなってしまい「本当はもっと食べさせてあげたかった。」奥様のそんな思いから、最後のお別れの際には、ご主人のために心を込めてお弁当を2つ作り、納棺品として柩に納められました。
奥様が病気をされた際には、ご主人がよく温泉へと連れて行ってくれたそうです。お互いを思いやる日々が、そこには確かにありました。
喪主挨拶では、ご参列の皆様への感謝とともに、ご主人への深い感謝の思いが語られました。
「もっともっと、大好きだと伝えたかった。ありがとう、また会いたい。」奥様の言葉が、深く胸に染み入りました。
納棺の際に奥様にはご負担がかからぬよう、旅支度はスタッフが代わってさせていただきました。そのことに対し、葬儀後に奥様が「旅支度を自分でしてあげたかった。」と、ぽつりと話されましたが奥様の想いを十分に汲み取れず、一つ一つを自身で行い送り出してあげたかったという気持ち、最後の手助けの機会を奪ってしまったことを、心より反省しております。
しかしその後、珊瑚樹の控室でご主人様とご一緒に過ごされた奥様が、「一人にしなくてよかった」と話してくださいました。その一言に、私たちも少し安堵し、奥様の想いに寄り添える時間があったことに救われる思いでした。
大切な人を送る、その時間が少しでも心に残るものとなっていたなら、これ以上のことはないと思いました。
SAKASOU 川野 大