ご自宅にお伺いしてすぐワンちゃんのお出迎えがありお話を伺うと故人様は犬が大好きだったと仰ってました。
打合せの時も近くでいました。ご希望の葬儀内容は無宗教(直葬)で最近少しずつ増えてきたなと思いました。お寺様等の宗教者が来られないのでより故人様らしい葬儀になるようにと考えていた時、犬が鳴いているのを見てご長男様が別の部屋に連れて行こうとしました。
それをお引き止めし「亡くなられてもしばらくの間は耳が聞こえていると言われます。近くで声を聞かせてあげてください。安心されますよ。」と、お伝えしたところ別の部屋に連れて行くのを止めて大変喜んでおられました。遺影写真も一般的な写真ではなく故人様らしい、ご遺族が良いと思われる写真が一番良い写真になります。と、お話し犬を抱いている故人様らしい写真になりました。
そして時間を決めてお柩の蓋を開けた状態にして大好きなワンちゃんを中に入れ何度か一緒に過ごしていただきました。お柩の中をウロウロしたりお顔の近くですり寄ってみたりして故人様が亡くなった事を分かっているようでした。ご長男から「近くでこうして最後の時を過ごすことができ父も喜んでいる。」と、仰っていただきました。
また、翌日の出棺を希望されていましたが、ご長男はお父様の事が大好きでだと仰っていたので、仕事等の予定もあるとは思いますが、可能なら1日でも長くご家族の時間を過ごしていただくご提案をしました。少し考えた後に提案を受け入れて頂く事ができました。その後出棺前に「今になってもっと一緒にいたいという気持ちが強くなってきた。あの提案が無ければ出棺は昨日だった。1日でも長く一緒にと言っていただいて本当に良かった。ありがとうございます。」というお言葉を頂きました。その後もお父様にお酒をお供えし一緒に晩酌しているそうです。
ご葬儀は一般葬から家族葬(または無宗教葬)へ形を変えてきました。
それと同時に、コロナ禍で病院や施設におられる方は、ご生前にご家族と一緒に過ごすことが出来なくなりました。通夜や葬儀の前にそれまでに出来なかった家族の時間を一緒に過ごしていただく事は、ご遺族様にとって何物にも変えられないとても大切な時間になります。
故人様のお身体の状態やご遺族様の仕事、学校の予定もあるとは思いますが、それまで出来なかったご家族の時間を少しでも長く過ごしていただきたいと強く思ったご葬儀になりました。またご遺族様が、後悔のない・少しずつでも前に進めるお手伝いをしたいと改めて思いました。
SAKASOU 川野 大